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家族と住まい

2人目の締め切りと、ローンが一番重い年は、ずらせない

世帯年収1,800万、貯蓄と投資で2,500万。家賃は月22万。突出した数字はどこにもありませんが、堅実に積み上げてきた手応えはあります。家を考え始めても、月々の返済が払えないわけではありません。それでも踏み切れないなら、迷いの正体は金額ではないのでしょう。「いつ買うか」という一語に、家族計画ぜんぶが折りたたまれているからです。

ローンは何歳でも組めます。けれど2人目を持てる年齢には、後ろにずらせない期限があります。片方の時計は金額で進み、もう片方の時計は年齢で進む。その2つが、たまたま同じ数年を指しています。それがこの世帯の、解けそうで解けない問いの構造です。

「買えるか」には答えが出る。だから迷いが解けない

返済シミュレーションをいくら回しても、この迷いは解けません。月々払えるかと問えば、答えはほぼ「払える」になります。答えの出る問いを何度問い直しても、本当に決めかねている問いには近づかないからです。

問われているのは月々の額ではなく、順番です。先に家を決めるのか、先に2人目を決めるのか。どちらも「あとで」が効きにくい決断で、しかも互いの前提になっています。住宅ローン比較サイトは、月いくらかは精密に教えてくれます。決断の順番がどう効くかは、最初から扱いません。

金額で動かせる決断と、年齢でしか動かせない決断を、同じ天秤に載せている

家は、頭金が貯まってから・年収が上がってから、と後ろにずらせます。買う・買わないも、買う時期も、こちらが握っています。2人目は、必ずしもそうはいきません。片方は金額が決める決断、もう片方は年齢が決める決断——時計の進み方そのものが違う2つを、同じ家計の天秤に載せようとしています。

だから「もう少し貯めてから両方」という解が、ここでは成り立ちません。家を待てば頭金は厚くなりますが、その間にもう一方の時計は止まりません。待つことが片方には有利に、もう片方には不利に同時に効きます。この非対称が、堅実な世帯ほど判断を長引かせます。

収入が下がる年と、固定費が一番重い年は、同じ窓に入る

住宅ローンの返済は、契約直後がいちばん重くなります。残債が最大で、繰上げの余力もまだ薄い最初の数年。一方、2人目が生まれれば、産休・時短で世帯収入は一時的に下がり、保育の出費が立ち上がります。固定費がピークになる時期と、収入が下がる時期が、同じ数年に揃って入り込みます。

単年で見れば、どの費目もそれぞれ「払える」。問題は重なりです。ローン・保育・収入減という3つの負担が、35歳前後の数年に同時に重なります。家計簿の足し算は費目を縦に積みますが、この問いは時間軸に横に並べないと形が見えてきません。長い人生で一度だけ通る、いちばん細い数年——そこを何で渡るかが問われています。

余白の正体は、年収の高さではなく、固定費の低さ

この世帯の強みは、収入の突出ではありません。家賃22万・貯蓄2,500万という、稼ぎに対して身の丈の合った暮らしのほうです。突出した一馬力に頼らず、二人で支える構造そのものが、収入が揺れても暮らしを崩れにくくしています。

だから家を買うかどうかの本当の意味は、「いい暮らしを手に入れる」ではありません。今いちばん効いている低い固定費を、自ら一段引き上げるということです。額が並でも余白が作れているのは固定費が低いからで、その同じ固定費を、いちばん細い数年の入口で重くしようとしています。余白を増やしに行く決断が、余白の源泉を細らせる——そこに気づくと、迷いの輪郭が変わってきます。

住宅ローンと教育費は、どちらも「払う年」を相手が指定してくる

この2つが厄介な相性なのは、どちらも支払う時期を自分でずらせない点にあります。投資の取り崩しは相場を見て先送りできます。旅行も買い替えも翌年に回せます。けれど大学の入学金は、子の年齢が来れば、その年に必ず請求されます。ローンの返済日も、こちらの都合では動きません。

2人目を持てば、この「動かせない支出の列」が二段重ねになります。上の子と下の子の進学が数年ずれて、教育費の山は長く続きます。その山の終わりは、ちょうど退職前の、収入で挽回しにくい年代にかかります。家を買うとは、すでに一本ある動かせない列の隣に、35年ぶんのもう一本を並べることです。家計の自由とは、ずらせる支出をどれだけ持っているかで決まります。ここでは、ずらせない列ばかりが増えていきます。

年間収支のスナップショットには、谷が写らない

家計診断もローン試算も、たいていは年間収支のスナップショットを見ます。月いくら入って、月いくら出るか。そこには時間軸がありません。だから「2人目とローンが重なる数年だけ家計が深く下がり、そこを越えれば持ち直す」という、いちばん知りたい谷の形そのものが、最初から映りません。

平均すれば回る、という見立ては、ここでは当てになりません。生活が回るかどうかは、いちばん細い年に資金が足りるかで決まります。前提を年単位で動かせない道具は、どの年にいくら入っていくら出るかを年ごとに並べないため、順番が生む谷の深さを計算しません。だからこの世帯の問いは、既存の家計診断の外側にあります。

スコアの綱引き

押し上げる

  • 稼ぎに見合う低い固定費
  • 二人で支える二本の収入
  • 複利を働かせる時間

押し下げる

  • 突出した稼ぎがない
  • 年収に対し厚くない貯蓄
  • 2人目とローンの重なり

決められないのは情報不足ではない。順番ごとの「谷の形」を見ていないから

2人目を持つかも、いつ家を買うかも、本人たちが決めることです。決める前にできるのは、順番を入れ替えた複数の未来を並べ、谷の深さと、そこを越えたあとの余白がどれだけ違うかを、自分の数字で確かめておくこと。先に買う未来、2人目のあとに買う未来、賃貸のまま教育に振る未来。同じ世帯でも、置き方ひとつで谷の通り方は変わります。

この世帯の数字——余白スコア85、資産が尽きずに済む未来87%、安心ラインに届くのは49歳——は、二つの力の綱引きの結果として出ています。押し上げているのは、家賃22万という稼ぎに見合った低い固定費と、二人で支える二本の収入。複利を働かせる時間も、まだ十分に残っています。押し下げているのは、突出した稼ぎがないこと、貯蓄2,500万がこの年収に対して厚いとは言い切れないこと、そして何より、2人目とローンが重なる数年でその低い固定費が一段重くなり、収入が同時に下がるという不確実性です。85という数字も、87%という確率も、49歳という到達も、その綱引きの均衡点に立っています。

だからこの人の論点は、いくら借りられるかではなく、どの順番でその数年を渡れば、いまの低い固定費という支えを最後まで効かせられるか、にあります。

あなたのスコアも、同じ綱引きの均衡点に立っています。どの順番でその数年を渡るかを選ぶのは、あなたです。

この世帯の余白(同じ前提で100年を1,000回試算)
余白スコア85 / 100
0余白あり100

資産が尽きずに済む割合

87%

安心ライン到達

49歳

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同じ問いを抱えていそうな人が、まわりにいたら。

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